
内戦中のシリアにあった、出来事をヒントにしたおはなしです。
ダマスカスの町に
ヌールという女の子が
ママと バーバ―(アラビア語で父)と くらしていました
ヌールとは、アラビア語で「光」という意味です
ある日
砲弾の 爆発する音が きこえました
戦闘が はじまり、みんな 地下室に 避難しました
通りは 戦場に なり
崩れた 建物は がれきの山に なりました
いとこの アミールは
パンを買う、おつかいのあとに 本を ひろうように なりました
「こんなに あつめて どうするつもり?」
「どうしたらいいかわからなくてさ」
と、アミールが 答えました
「秘密の図書館を作らない?」
「それがいい!」
ふたりは、
ともだちと いっしょに 本を 秘密の地下室に あつめました
地下図書室は「アル=ファジュル」(アラビア語で「夜明け」)
と 名づけられました
町のひとたちも 本集めを てつだってくれました
「なぜ、本には そんな力が あるのだろう」
と、バーバーが いいました
ヌールは ため息をつき 答えました
「本は 人間みたいに 争わないし」

秘密の図書館は、戦争という海に 浮かぶ
安心できる 港に なったのです
・・・
ヌールは思いが、本文中にありました。
本の世界は すばらしい
まるで、たくさんの 星でできた 銀河みたい
明るいのも、それほどじゃないものも あるけれど、
こうしてあつまれば、夜空が きらきら光るんだもの
図書館の比喩が、「秘密の図書館」の存在意義を示しています。「アル=ファジュル」(アラビア語で「夜明け」)と名づけられた図書館は、「明るい光」「安心できる港」です。そして、本の山は「たくさんの星でできた銀河みたい」なのです。内戦が続くシリアの将来に対する、希望をかたっています。
シリアの内戦は、中東各地の民主化運動のアラブの春の影響から、2011年に始まり、2024年12月のアサド政権崩壊後、大規模な戦闘は減少しているようですが、現在も完全には終結していません。
巻末に「シリアについて」「物語の中に出てくる言葉」「中東にある8つの有名な図書館」「ほんとうにあった秘密の図書館」「文化と戦争」「物語を書いた作者から、読者のみなさんへ「絵を描いた画家から、読者のみなさんへ」があります。学ぶところの多い、あとがきです。
※『シリアの秘密の図書館』 ワファー・タルノーフスカ作、ヴァリ・ミンツィ絵、原田勝訳 くもん出版 2025年 (2026/3/23)









